「うらやま」の豊かな自然を再発見しよう。

犬山水生生物園たより(7)

犬山水生生物園(善師野平谷湿地)たより(7

 8月の定例活動日は夏休みです。今日は犬山の湿地についてお話しします。

 犬山には多くの湿地があります。その多くは湧水湿地で希少な生物が生息・生育しており、継続的に大切に保護する必要があります。

 犬山にはこの地方最大規模の湿地があります。「犬山ふれあいの森」内に立地する八曽湿地です。ここは飛騨木曽川国定公園地内で且つ森林法により保安林に指定されています。集水域を含め現状がよく保存され、砂礫層からの湧水が豊かで、年間を通し水温が一定し貧栄養、好酸性に適した希少生物の生息・生育環境を形成しています。しかし保護活動には問題も多く、別の機会にお話ししたいと思っております。

 今日の八曽湿地では根に捕虫袋をもつミミカキグサ・ホザキノミミカキグサ、日本で一番小さいハッチョウトンボ、ミズギボウシ、ノリウツギが見られました。私は15年ほどこの湿地に係わっていますが、種によっては盗掘され絶滅危機に瀕したものもあります。そのため単に分布だけではなく、分布域や個体数の調査が必要かと思います。

 八曽の森では足下から飛び立つヒグラシやニホンカナヘビ、クロモジの実などを見ることができました。秋も近くなりました。次にはもっと秋らしいお便りが届けられればと思います。


ミミカキグサ


ホザキノミミカキグサ


ハッチョウトンボ♂


ノリウツギ


カナヘビ

(2021年8月13日記)